秋が深まって、紅葉見物に公園や野山を散策したくなりますねすると、きれいな落ち葉に埋もれるように、たくさんのドングリに出会うことができます。

 

なかには、そのままで食べられる種類もあるのを知っていますか?

 

あらかじめその見分け方を知っていれば、野山を散策する楽しみも倍増します。ここでは、食べられるドングリについて紹介していこうと思います。

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そのまま食べられるドングリの種類がある!

秋になって公園や山道を歩いていると、落ち葉に混ざってたくさんのドングリが落ちているのに出会います。

 

ちょっと観察すると小さいのや大きいの、まるっこいのや細長いの、いろいろな種類があることに気がつきますが、そのどれもがつやつやと光っておいしそうに見えるのは、私だけではないと思います。

 

椎の実を食べたことのある人ならば、どんぐりも美味しそうに見えるのは「かくも当然かな?」と。

 

結論から先に言ってしまうと、紅葉する落葉広葉樹のドングリはアクが強く、そのままでは食べられません。

 

実は、緑の葉をつけたまま冬を越す“常緑広葉樹”の種類に食べられるドングリがあるんです。

 

かといって残念がることは無です。野山には落葉広葉樹に混ざって、常緑広葉樹も必ずあります。すっかり葉が落ちた野山では、かえって常緑広葉樹は見つけやすいかもしれません。

 

日本人は数万年前の狩猟採集時代から、ドングリを採集して“主食”としていたらしく、各地で発見されている古代遺跡から、その痕跡が発掘されています。

 

炭化したドングリが付着した土器のかけらや、ドングリを貯蔵した穴が多数見つかっているのである。

 

とはいえ、ドングリには“タンニン”とよばれるアクがあって、そのままでは食べられない種類のものが多い。アクが全くなくてそのまま食べられるものは、スダジイツブラジイの2種類。

 

どちらもブナ科シイ属に属し、椎の木(シイノキ)と呼ばれる“常緑広葉樹”。先ほどの椎の実はこの常緑広葉樹から取れる木の実の事ですね。

 

マテバシイも食べられる事はできますが、やや渋みがあって、こちらもブナ科だがマテバシイ属に属しており、椎の木とは“別属”なんですね。

 

紅葉の野山で見かけるクヌギやナラの落葉広葉樹、街路樹や垣根に植えられているシラカシアラカシは常緑広葉樹ではあるけど、概してアクが強く砕いて長時間水にさらすなどの手間のかかる処理をしないと、食べることができない種類のものです。

 

クヌギのドングリなどは、まんまるでチョコボールのように見た目はおいしそうに見えます。

 

試しにフライパンで炒ってみると、油がしみだしてくるのかつやつやと光って、いかにもおいしそう。だけどこれを食べてみると、強烈に渋い!

 

調べてみるとクヌギは、特にアクが強いとのことらしい。

 

縄文の人々は、アクがないドングリだけでなく、これらアクが強いドングリでも秋に大量に収穫して、冬にかけてアク抜きの作業を行い、食料として蓄えていたそう。

 

1万年以上経た現在に至っても、アク抜きの手法が伝えられている地方があるというから驚きですね。

 

普段から、ランニングシューズを履かずに、シンプルなサンダルで野山を走っている私などは、他の人より狩猟採集的な血が濃いせいか、ドングリをみるとつい拾わずにはいられない性分です。

 

現在知っている方は少なくなってきましたが、そのままで食べられる種類があることを知らなかった頃は、ヤジロベーコマを作って遊ぶだけにとどまっていましたが、ドングリが食べられるという事を知ったからには食べてみずにはいられなくなり、さっそく食す行動に移してみました!

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実際にドングリを食べてみた!

という事で「物は試し!」。実際にドングリは美味しく食べられるのか検証するために、実際に食べてみました。

ツブラジイ

小指の爪ぐらいの粒で黒っぽい色をしており、一般的なドングリとはちょっと印象が異なっています。

 

木に成っているときは全体が木質の鞘で覆われていますが、熟すと先端が割れて、実が顔をのぞかせます。

 

地面に落ちたものは、鞘がすっかり外れているものが多いですね。

 

このドングリを間近でよく見ると、全体に細かなうぶ毛が生えているようです。拾ったそばから歯で割ると、中から真っ白い胚乳が出てきた。

 

小fれを食べてみると、やわらかくてほのかに甘く、米のような味がした。これはそのまま食べてもおいしいかも。

 

万葉集に、

「家にあれば 笥(け)に盛る飯(いい)を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る」

という有間皇子の歌があって、“椎の葉”というのがツブラジイのことらしい。

 

しかし、実際の椎の葉は飯を盛るにはいかにも小さすぎる。指二本分くらいの幅で、にぎり寿司がひとつのるくらいの大きさしかない。

 

有間皇子は謀反の罪を着せられた死出の旅路にあった。哀しいことに、食事もほんの少ししか与えられなかったのだろうと思う。

 

子供を連れて、ツブラジイを探しにいくつか神社を巡ってみると、「愛知県の小牧市近郊」で大きな椎の木を見つけた。巨木とも言ってもよく、しめ縄が巻かれて大切にされているようだ。

 

さっそく地面を探すと、あるわあるわ、拾い始めたら腰を上げることができないくらいに!

 

蚊に刺されながらコンビニのビニール袋に半分くらい収穫できた!

 

黒くてコロッとした形なので、他のドングリと見分けがつきやすく、集めるのは簡単だった。

 

通りかかった近所のおじいさんが、昔はこれを炒ったものを屋台で売っていて、よく食べたものだと話しかけてくれた。

 

家に帰ってさっそくフライパンで炒ってみた。生で食べるより甘みが増しておいしい。しかし実の大きさが小さいのでこれで腹を満腹させるのは大変だ。また冷えるとカチカチになって生米のように硬くなるので、食べる分だけ炒るように。

 

硬くなったものはフードプロセッサーで粉末にしてクッキーにしてみた。クセが無いので、黙っていたら“ドングリクッキー”だとわからないくらいで、ちょっともの足りないかもしれない。

 写真-1:神社で拾い集めたツブラジイ(筆者撮影)

スダジイ

スダジイとはツブラジイと同じ椎の仲間で、まったくアクがなくそのまま食べられるのが特徴。

 

実の大きさとしては実はツブラジイよりも大きく、色は黒みがかった茶色、やはり木質の鞘に覆われている。

 

熟して鞘から外れて地面に落ちたものは“まるまるっ”とした艶やかなドングリで、いかにもおいしそう。

 

ツブラジイもそうだが、椎の実には縦方向に2~3か所、角(エッジ)がついている。個体によって様々だが、太った三角錐のような形が特徴。写真-1の下方に、エッジをこちらに向けたものが見えているのが分かると思います。

 

椎の木は秋になっても落葉しない常緑広葉樹で、艶のある照葉が特徴です。

 

ツブラジイの葉にはギザギザが全くないですが、スダジイの葉は先端のほうが鋸葉(のこぎりは)となっています。葉の色はスダジイのほうが濃い緑で、照りも強いです。それに比べてツブラジイの葉はややくすんで見えます。

 

味の渋いドングリを付ける“シラカシ”“アラカシ”も、スダジイと同じような葉を持っていて紛らわしいですが、カシの葉には付根から均等にギザギザがあるのに対し、スダジイは“先端のほうにだけギザギザ”があります。

 

またスダジイの葉は、先端がソフトクリームの先のようにつんと尖っているのが特徴なので、この特徴を知っていれば簡単に見分けられます。

 

以下に写真を載せています。この写真を見てもらえれば、特徴の違いが分かるでしょう。

 写真-2:スダジイの葉は縁がつるっとしている(出典:Wikipedia)

 写真-3:ツブラジイの葉は縁にギザギザがある(出典:Wikipedia)

私が住んでいる岐阜県近郊では、スダジイを見つけることはできませんでしたが、「トレイルラン」の大会で出かけた石川県でこれを見つけました。

 

公園に樹皮が細かくひび割れた特徴のある椎の木とおぼしき木を発見。これは!と思って地面を探すと沢山ありました。

 

鞘に包まれたスダジイが落ちている。さらに探すと、鞘から外れた丸々としたものが、掃いて集められるくらい見つかりました。ズボンの両ポケットはすぐにいっぱいになり、コンビニのビニール袋に移し替えてたっぷりと収穫。

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その場で割って食べると、身はツブラジイのような真っ白ではなく、やや黄みを帯びていました。ツブラジイより少し歯ごたえはありますが渋みとかは全くなく、やはり米のような味わいでした。良く味わってみると、ほんのりと栗のような風味も!

 

家に帰って、フライパンで炒ってからペンチで割る。炒りたてはやわらかいが、冷めるとやや硬くなるのが難と言えば難。しかし粒が大きいので、おやつがわりに最適!ポリポリ食べれます。よくよく調べてみると、「米と一緒に炊いて椎の実ごはんにしてもおいしいよ!」ということが分かりました。

 写真-4:スダジイの木(筆者撮影)

 写真-5:拾い集めたスダジイの実(筆者撮影)

マテバシイ

マテバシイは、都会の公園や街路樹として多く植えられており、あちこちで見かけることができます。

 

6月ごろにススキの穂のような黄色い花で樹冠全体が覆われるので、その存在はわかりやすいでしょう。

 

花が終わる夏に緑色の実が鈴なりになっているのを見つけることが出来るが、マテバシイは2年かけて成熟するので、そこに成っている実は昨年になった実であります。

 

葉は常緑、肉厚の照葉で、細長くギザギザがない。ツブラジイよりもだいぶ大きい葉で長さは20㎝くらいあります。実はピストルの弾のような形で、2~3㎝ほどの長さがあり、ドングリとしては大きいですね。

 

表面が白い蝋質のものでうっすらと覆われていますが、地面に落ちてしばらくたつとそれは失われ、艶のある茶色い表面が現れます。

 写真-6:マテバシイの葉と若いドングリ(出典:Wikipedia)

弾形の実は大きいので見つけやすく、比較的拾いやすいですね。集めだすとポケットや袋がすぐにいっぱいになります。

 

好みは固く、拾ったものを頑張って歯で割ると、薄皮に包まれたクリーム色の胚乳が現れます。

 

薄皮を爪でしごいてから口に入れると、生栗のようなコリっとした歯ごたえがあり、やや渋みはありますが食べられないほどではないです。まあ生栗でもこれくらいの渋みはあるので。

 

これらの実を食べた時の感想なんですが、“スダジイ”や“ツブラジイ”が米のような味であるのに対し、“マテバシイ”はどちらかというと栗に近いですね。

 

このマテバシイは熱を加えるとまた味が違ってくるんですね。家に帰って、フライパンでしばらく加熱するとやがてパチンと大きな音がして果皮が爆ぜて食べごろになります。冷めてからペンチで割って食べてみると、ナッツのような味わいがあって美味しいです。

 

個体によっては渋みの強さが異なるようで、「こりゃ美味い!」というものもあれば、渋くて食べづらいものもあったり当たりはずれがあります。

 

残ったものは、フードプロセッサーで粉にしてまたまたクッキーにしてみました!

 

今度のマテバシイは少し渋みがあるので、それがかえって“ドングリクッキー”らしい味に仕上がり、個人的に味わいのあるこっちのほうが好きになりました。

 写真-7:ピストルの弾形をしたマテバシイ(筆者撮影)

ドングリ探しは公園や神社で見つかるよ!

もしドングリを探して実際に食べてみたいと思ったなら、公園や神社に行くといいかもしれませんね。

 

都会に住んでいる方には、神社もいいですが、手軽に行ける近くの公園でマテバシイを見つけてみることをオススメします。

 

地方であれば神社や寺に行き、ツブラジイやスダジイをさがしてみましょう。

 

椎の木は昔から飢饉の際の救荒食物として、人々から大切にされてきました。現在に至っては、それらは巨木となって神社などで祭られています。

 

神の恵みをもらうためにも、椎の実を拾ってみてはいかがでしょうか。

 

木の実を探すだけでも自然と触れ合うことができるので、これほど楽しいことはありませんね。