よく「冷えは万病のもと」とか、慢性的な身体の「冷え」はひどい時は命の危険にも繋がりますよ!といわれますよね。
特に暑がりな方や筋肉質な方、皮下脂肪多めなぽっちゃり体系な方は、冬でも薄着をしている印象があったりしますが、実際のところ身体にとってはあれはあまりよくないようです。
それでは「冷え」とは何か?病気になりやすい一因として「食べ過ぎ」があります。
「食べ過ぎ」は体調不良の原因になるきっかけとして分かりやすいのですが、「冷え」については多少の説明が必要です。
手足が冷たく感じる、いわゆる「冷え症」だけが「冷え」ではありません。
下半身が冷たく上半身が熱いのが「冷え」です。
東洋医学で言う「六淫六邪」(病気を起こす十二の要因)の中に「寒邪」というものがあります。
漢方のバイブル「傷寒論」は季節による寒さを主としていたようですが、ここで採り上げる「冷え」は「傷寒論」よりも広い概念で捉える必要があるのです。
ここでは身体の上半身と下半身の“温度差”のほかに、家の室内空間の上下の温度の違い(部屋の上部と床面の温度差)、そして精神状態(ストレス)による「冷え」食べ物性質による「冷え」なども取り上げてみたいと思います。
まず人体の上半身と下半身の温度差について説明します。
人体の冷えとはどんな「冷え」のこと?
下半身、特に足首から先が低温で、上半身が温かい状態を「冷え」と言いますが、これは相対的なもので、足もとを温かくしていても、上半身をそれ以上に熱くしていては「冷え」の状態にあることになります。
このことを知らずに、このような環境にずっと過ごしていたら次第に身体の抵抗力が失われていき、風邪を引きやすくなったして慢性的な“体調不良”になってしまいます。
冬は「冷える」のはわかるが、夏でも「冷える」のか?
このような疑問を持つ人が多いのですが、上に述べた理由でおかれた環境によってはどんな人でも夏でも「冷える」んです。
いわゆる「暑気あたり」は足もとが寒いわけではなく、頭など心臓より上の上半身が日光などによる高温にさらされ、そのために“相対的”に足もとが「冷える」ために起こる状態です。
精神状態の変動でも体が冷えるって本当?
興奮して頭に血が上ると、頭が熱く足元が冷えて「冷えのばせ」の状態になります。
これは興奮した精神状態から来る身体の「冷え」なのです。
これは反対に足もとが冷たいと上半身がポッポッとしきたり、顔が赤くなって「のぼせ」の状態になりますが、これを「冷えのぼせ」と言います。
外部環境の温度差で簡単に冷えが促進される
次は居住環境の上下の温度差ですが、最も分かりやすいのは冬の時期に暖房している室内空間の上下の温度差です。
ただ単に暖房しただけの室内は、暖かい空気が上へ上昇するので、顔の高さと膝の高さで温度差が最大で“10度”も生じることがあります。
当然身体が受ける温度差によって「冷え」を感じやすくなります。
それでもこんな環境で電気代の節約などで我慢して冬の間を過ごしていたら病気ならないのが不思議なほどで、たいていは風邪やお腹を壊して下痢になったりなど何らかの病気になりやすくなります。
温度差のある室内空間を一定の温度に保ってやるには、エアコンやストーブに加えて”扇風機”や“サーキュレーター”などを上手に使って空気をかき回してやると温度差が減り、身体が受ける不快感も軽減されます。
要するに、相対的に「頭寒足熱」が健康の維持には最も大切な要件であるということですね!
身体は体温を一定に維持し、健康的な身体を保つために常に「恒常性」が働いています。
身体の健康を裏から支えている恒常性を正常に働かせるために「住環境」「精神の安定」「食べ物」などの多方面から対策を考えることが必要ですね!